はじまりは、【ひとしずくの涙】でした。

「こんなになって、可哀想に…」

美容師の私は、いつものようにサロンワークをしていた。
ブローの途中、ひ孫が生まれたとうれしそうに語ってくれてた彼女が、震える声でつぶやいた。

艶のあるグレイヘアがより上品さを醸し出し、どう見ても良家の奥様と思われるご婦人。
そのご婦人が私の無惨に痛めつけられた手を握りしめ、涙を浮かべていた。
まばたきした瞬間、素敵に年を重ねたやさしい瞳からひとしずくの涙がこぼれ落ちた。
その涙は、無惨にただれた私の手の甲に、ゆっくりと染み込んでいく…

そんな出来事を、仕事を終えた後バスタブに浸かりながら思い出していた。
何気なく、バスタブの中で自分の体を見つめてみる。

そういえば、手だけじゃなく二の腕や肩までただれてきている。
爪はボコボコになり、指の節は骨まで達するほどに深々と割れている。
指を曲げると血が滲み、シャンプーしていると泡が赤く染まったこともある。
繰り返し割れた皮膚は、潤いを無くしゴツゴツとワニの背中のように醜く角化している。
乾燥すると耐えきれない痒みが襲ってくる。

眠れぬ夜が続く…

どう見ても、ただ事ではない。

どこの皮膚科に行っても「仕事、辞めなさい」と言われつづけた…
素直になれない私は、つらいとか痛いとか誰かに愚痴ることもできない…
人に見られないよう、夏でも長袖を着ていた。
いつの間にか、心も内を向く…

「美容師なんて、こんなものよ。」

と無理矢理自分自身に言い聞かせ、強がってみせた。
そんな私を、あのご婦人のやわらかい手の温もりとひとしずくの涙が、優しく包み癒してくれた。
それは、今まで必死になって誤魔化してきた私の心の鎧を、いとも簡単に剥ぎ取ってしまった。
強がりで覆っていた本当の心が、あのご婦人によって解き放たれてしまったのだろう。

すーっと、体の力が抜けた気がした。
力が抜けた拍子に、思わず言葉が出た。

「…つらいよぉ」

それまで心の奥底にしまい込んでいた涙が、堰を切ったように溢れ出て、
止まらぬ涙は、バスタブの中に溶け込んでいった。

あれから10年の月日が経ちました。

あのご婦人は、御来店するたびに私の手を握り、涙を浮かべながら力づけてくれました。
あの日からこの手を治そうと決意した私は、書籍を読みあさり、時間の許す限り講習会やセミナーに参加しました。
それは、いつしか子供のためにと変化していきました。

そして、たどり着いた答えが「アロマテラピー」です。

100%天然、無添加。余分な成分を削ぎ落とし、シンプルそのもの。
もちろん、人にも地球にも優しい。そして何より、あのご婦人のような「癒しの力」を持っています。
私の手もみつろうとココアバター、グレープシードオイル、ハチミツ、精油で作ったハンドクリームや手作り石けんで回復の兆しを見せ始めました。
その後も、試行錯誤を続けながら「ステロイドに代わるアトピー軟膏」との出会いを迎えることになります。

子供の乾燥肌対策のために、入浴剤も作りました。これは、たった一度の入浴で効果が出ました。
乾燥でざらついた子供の肌が、ツルツル・しっとりとなり、痒みが無くなりました。

手作り石けんや手作りコスメ素材は、こうして生まれました。
私は、あのご婦人を決して忘れることはできないでしょう。
あの日のご婦人のひとしずくの涙を「精油」に代え、やわらかな手の温もりを「ハンドメイド」にし、そして私の心を癒してくれた優しさを「精油の香り」にして私は手作りコスメを作っています。

今の私には、精油の一滴一滴があの日のご婦人の「ひとしずくの涙」に思えます。
だからこそ、一滴一滴を丹念にそして、想いを込めて加えていくのです。

いつの日かあのご婦人のように、誰かを救えると信じて…。　　lotus

【肌づくり.net】は、ここから始まった。

天然素材、無添加素材を使うということ

天然素材とは…

「ありのまま」

であるということです。
ありのままとは、私達人間に一切媚びず、天然・自然の恵みとして「あるべき姿」で存在しているということです。

具体的に言い換えれば・・・

　・腐ります
　・固まります
　・特異な香りを放ちます。
　・特異な色彩を有します。
　・いつも一定ではありません
　・均一ではありません
　・繊細であり、粗野です。

もちろん素材それぞれに違いはありますが、素材によってはこのようなの特性がダイレクトに表面化してきます。
だって、添加剤で「人間の都合良くコントロール」していないのですから…
この事を使う側が良く理解しなければなりません。

添加剤に毒された「市販品の都合の良い概念」はお捨て下さい。
天然・無添加をお使いになるならば、
使う側が「天然・無添加を使う考え方と見る目」をお持ちいただかなければなりません。

手作りコスメへのこだわり

手作りコスメは、完璧なものではありません。

見た目や香り・使用感・シェルライフなどでは、合成添加剤や合成防腐剤の入っている市販化粧品と比べればどうしても見劣りします。

でもそれって、お肌に役立つことでしょうか？

私たち消費者が、「見た目の良さ」や「使い勝手の良さ」「いい香り」なんて事ばかりに心奪われているから、商品を一つでも多く売ろうとするメーカーなどがそのニーズに応えようとして添加物いっぱいの見た目だけがよい商品を販売してくるのです。
それはメーカーだけの責任ではありません。
私たち消費者が「間違った認識」を持ってしまったことこそが、諸悪の根源なのかもしれません。

現在、市販品で天然100%・本物の無添加を見つけ出すことは不可能に近いです。
だからこそ、「シンプル」や本当の「ナチュラル」という原点に戻る時期なのだと思います。

だから…
私たちは、手作りコスメにこだわるのです。